つるつるつらつら。

ボカロ関係で想ったこととかを主に綴ります。

今までに書いたすべてのお話を振り返ってみる記事

  もう2週間も前になりますが、先日はじめて長編(と呼べるか微妙なラインですが)を最後まで書き上げることができました。お話を書き始めて4年以上経つのにね。というわけで自分でお祝いするための足あと振り返り記事です。

 

1.VRMMO運営さんの業務日誌

URL:https://ncode.syosetu.com/n6032cv/

ジャンル:VRMMOもの

種別:連載、完結済み

連載時期:2015年8月23日~2015年8月27日

掲載状況:『小説家になろう』に掲載中

文字数・話数:21,526文字、7話

あらすじ:寒川良人(さむかわよしと)は、VRMMO「クワドレートオンライン」の運営チームに所属する28歳。同僚や、身勝手な要求と筋違いな批判をしてくるプレイヤー達に翻弄されたり大ポカをやらかしたりしながらも、彼は持ち前の熱さとゲームを愛する心で真っ直ぐに生きていく。そんな感じの短めなお話。(以下、小説投稿サイト掲載中の作品についてはそこのあらすじから引用)

 

 なんで小説を書こうと思ったのか全然覚えてないんですよね。あのころはすっかり大学の受験勉強してる時期だったのに、なにがどうしてそうなったんだ。『小説家になろう』の作品も『ぼくは異世界で付与魔法と召喚魔法を天秤にかける』くらいしか読んだことなかったし。ネタが降ってきたからってだけな気もしますけどね、今と同じで。

 余談ですが、ちょうどこれを書いてすぐくらいに、小学校からの同級生も『小説家になろう』で書いてることを知って話が盛り上がりました。ちょっとチャラくてキツネ目で、小説のこと以外はあまりそりが合いませんでしたが、悪いやつじゃなかった。

 今ではもうさっぱり連絡とってないけれど、彼、今でもコンスタントに小説書いてます。私とは比較にならないほどの速度です。たまになろうのアカウント覗くと、なんだか嬉しくなりますね。

 

 まあそんなこんなで、降って湧いたネタを勢いでこねこねしたら出来上がった作品です。なろうで人気のジャンルをまっすぐ書けずに、変な角度からひねっちゃう感じ。優しい話を書くスタイル。今と変わってないですね。変わったのは文章力(あいまいな概念)くらいかな。今は技術も経験もある程度詰めた実感がありますが、これははじめての作品なのでやっぱりそのあたり粗が目につきます。

 あと文体は竹井10日さんという好きなラノベ作家を中途半端にまねしようとしたせいで大変なことになっていますね。地の文が饒舌に語り出すやつ、扱いむずかしいのがわかったので私が使うことはもうないと思います。

 欠点に目を向けるといくらでも言えちゃうなのでごにょごにょしますが、最後の数段落は気に入ってます。「ここは好き」とかでいいので、せめて自分の作品は自分で愛してあげたいなあ。

 にしても、5日間で2万字強書いてる当時の私、なにがあったんだ。夏休みで塾漬けだったはずなんだけど。たぶん書くの楽しいって気づいたからなんでしょうね。今では月に2~3万字が限界です。

 

余談Part2:『VRMMOの運営さん』というタイトルのなろう作品が別に存在することをあとで知りました。

 

2.こちら恋愛相談室!

ジャンル:現代ラブコメ

種別:連載、未完

連載時期:2015年9月~2015年11月

掲載状況:削除済み(なぜか2~7話のデータだけ持ってる)

文字数・話数:約3.6万字、12話

ざっくりしたあらすじ:読書好きで物静かな少女、莉紗(りさ)。恋をしたこともないのに、ある日友人2人に誘われて女子限定の恋愛相談所(お題はスイーツひとつ)を一緒にやることになる。調査を進める中で、同学年の目立たなくて陰気そうな男子、俊哉(しゅんや)と接点を持つことになって……。他人の恋愛相談を解決しながら、波乱万丈な初恋も解決だ!

 

 

 一番の黒歴史『VRMMOの~』を書き終わってわりとすぐ始めた話ですね。

どうしてこれが黒歴史なのか。それは……!?

 

 主人公(女子)とお相手のモデルが私と初恋の人だからです。

 

 その初恋の人には告白して丁重にお断りされました。お友達になりました。叶わなかった恋のIFを一次創作でやるな。

 作品の出来が客観的に見て褒められたものではなかった(登場人物多すぎる上にみんな薄い、ギャグが滑っている、圧倒的にエピソード足りてないのに2人の距離がけっこうな速さで縮まっていく,etc…)というのもあり、つらくなって消してしまいましたね……

現代ラブコメは遠くないうちにリベンジしたいなと思っています。

 

余談:同性の友だちを好きになったかもしれないという内容の相談をしにくるキャラがのちのち出る予定だったので、作品にガールズラブのタグをつけていました。そしてあらすじには、相談所をやる中で主人公が初恋に落ちていく旨を書いていました。その相手の性別を明記せずに。

 ところで、なろうでは『その日、作品の各話にそれぞれ何人がアクセスしたか』を解析できます。何日も続けてみていくことで、どこで読者さんが脱落しやすいかなどが浮き彫りになってくる。そしてこのお話、お相手が出てくるのがたしか3話で、3話から4話の間でガクッとアクセス人数が減るという傾向が。

 ガールズラブ、期待されていたんでしょうね……

 大変申し訳なくなりました。あらすじも相手の性別がわかるように変えました。というお話でしたとさ。

 

3.猫たちの墓場

URL:https://ncode.syosetu.com/n6032cv/

ジャンル:純文学×SF

種別:短編

投稿日:2016年2月21日

掲載状況:『小説家になろう』で掲載中

文字数:2,156文字

あらすじ:寿命を迎えようとしている飼い猫のよもぎは、最後の力を振り絞って、近辺の猫が最期を迎えるために使う場所へと向かった。そこでまさに命を終えようとしたその瞬間、猫の精霊を名乗る存在が現れ「お前の飼い主のために1つ願い事をしないか」と告げる。よもぎは何を願ったのかーー。

 

 完全に受験真っただ中。前期試験の前後あたりだったのになぜか書いてた短編です。これもネタ思いついたがいなや勢いで書いた覚えがあります。ベッドに転がりながらスマホでぽちぽちやってましたね。

 内容についてはあまり語るところがないかなあ。ややSFチックなほっこりするお話です。少年が都合よく事態を察しているのが気になるくらいで、けっこうお気に入り。

 

4.追放勇者の異世界放浪記

ジャンル:異世界召喚ファンタジー

種別:連載、未完

連載時期:2016年5月~2016年9月

掲載状況:削除済み(データ持ってない)

文字数・話数:約4.8万字、11話

ざっくりしたあらすじ:平凡な(本当に平凡な)大学生の主人公(名前忘れた)は、異世界の王国、レダフ王国に召喚される。かつてこの地に滅亡をもたらす存在(名前忘れたその2)が現れ、死闘の末に封印された。しかし、その封印がそろそろ解けそうだ。この異世界が危機に陥った際、星自体の意思で別世界から召喚される切り札。それが主人公たち『星呼びの御子』。

救世主として盛大に歓迎され、王国とパイプのある元英雄のもとで鍛錬に励む。主人公におともしたいと自ら志願してきたドワーフの少女、リコッタとともに。しかし、元気いっぱいな彼女はなにかを隠しているようで……実は、中級貴族の娘として生まれた彼女だったが、両親は無実の罪を着せられて処刑されてしまった。リコッタは彼らの遺志を継いで、一発逆転を狙っていたのだ。未来の救世主の仲間になることで。

順調に経験を積んでいた主人公は、滅亡をもたらすryの眷属『憑蛇タルバティッカ』が侵攻してきたのを迎撃する戦いに駆り出される。見事討伐した彼らだったが、主人公はタルバティッカの核に寄生されてしまう。本体を倒しても核を破壊しなければ、核は強者にとりついてその力を得ることで、そのうち復活してしまうのだ。それも、以前よりひと回り強大になって。憑蛇と呼ばれし所以は、そこにあり。

しかし、事態はそれだけではとどまらない。『星呼びの御子』としての、異世界人とは違う特異体質が悪い方向に作用した。

完全に乗っ取られはしないし、人間としての姿も保つ代わりに、ときおり前触れもなく暴走する。それも人間としての知性と魔物としての力を合わせ持って、通常寄生された場合よりも凶悪に――

化け物として一思いに討伐するのもためらわれ、さりとて放っておけば滅亡をryが復活する前に世界が滅ぶだろう。そんな怪物になってしまった主人公。殺したくはないと、王国からは慈悲をもって追放されることになった。けれど、他国は彼の存在を許さないだろう――

ひとり逃亡し、どうにか己の中の怪物を抑え込む方法を探ろうと決心する主人公。リコッタに別れを告げようと会いに行くが、彼女は純粋な眼で「ついていく」と宣言し――

これは、『禍憑きの御子』と呼ばれるようになる主人公と、お付きの少女の逃避行。そして、世界を救う物語。

 

(思い出しながらあらすじ書いてたら楽しくなっちゃった)

 

 タイトルでわかる人もいると思いますがウケを狙いました。流行りに乗ろうとしました。『小説家になろう』というサイトで評価されるために。主人公がなにかの力によって異世界に転移したり、死んだと思ったらそちらの世界に転生したり。そうして、強い能力を得て活躍する。当時のなろうは特に、そういう作品が流行っていました。今はまた、ちょっとだけ違う感じですけど。

 けれど、そのころの私はまだ、そういう作品で好みのものがそんなになかったし、どちらかと言えば敬遠していました。なんでそう思っていたのか、確かに理由はあったけど今となってはほぼ覚えていません。けれど、書こうとした。読まれたかったから。

 そこまで好きでもないジャンルを無理に書こうとして失敗したのがこの作品です。変に逆張りした結果、こういったジャンルの定石(とでも呼ぶべきもの)から外れ、結局あまり読んではもらえず、かといって自分好みにもならず、書くのが苦痛になり削除した。そんな覚えがあります。お話自体は地味だけど悪くなかったと思っていますが、書いていて楽しいのとはまた違うので。

 主人公に剣以外の武器を使わせようとして、特に物語上の理由なくコルセスカという槍の一種の長柄武器を持たせたり。主人公の能力をかなりトリッキーかつ半端な強さにしたり。元気かわいくて腹黒系でもないヒロインがなぜか目論見を持って主人公に近づいてきたり。逆張りばっかりしてました。

 異世界転移or転生ものもいつかリベンジしたいですね。バトルシーン書いてみたい。この作品以外でまともに書いたことがないんです。

 

5.正夢令嬢による猟奇的ざまぁ

URL:https://ncode.syosetu.com/n6032cv/

ジャンル:婚約破棄もの・ハイファンタジー

種別:短編

投稿日:2016年12月9日

掲載状況:『小説家になろう』で掲載中

文字数:7,593文字

あらすじ:見た夢が二週間後になんでも現実のものとなるという能力を持つ、とある小帝国に住む伯爵令嬢のシャンテル。ある日彼女は、生まれて初めて悪夢を見てしまう。何種類もの植物を乱雑に束ねたような姿の怪物が、帝国を蹂躙するという夢を。それからほどなくして、婚約者である侯爵三男のフェリックスから、突然理不尽な婚約破棄を言い渡されてしまう。その場は破棄を受け入れて平然と対応するシャンテルであったが、自らが置かれている状況を利用して盛大に仕返しをする計画を立てるのだった。

 

 (ざまぁとは、スカッとジャパンです。まじめに説明すると、悪者が報いを受けることです。web小説などでは物語の展開のひとつとしてよく使われる言葉です。主人公が強さを発揮するのと相性がいいので)

 

 今までなろうに投稿した作品(削除済みのもの含む)で、もっとも評価ポイントが多いのがこの作品です。でも黒歴史

 このあとで語る予定の『姫護りの半端騎士』という作品(当時はまだ構想段階)が自分の中では本命で、それを多く読んでもらうために私という作者のファンになってくれる方を増やしたかった。そんなよこしまな目論見のために、なろうで強い勢力を誇る婚約破棄もの、ざまぁものを書きました。今までそんなに読んでこなかったのにね。

 またしても正面から取り組まず変な方向にひねってしまって、ただ残虐なだけで爽快感のない、ターゲットを見失った作品ができました。タイトルとジャンルのおかげで今までとは比べ物にならないほど読んでいただけましたが、評価としては低いものだったと思います。

 なろうには文章とストーリーの2項目にそれぞれ最大5点のポイントを入れて(つまり最大で10ポイント)評価できるシステムがあるのですが、ある程度以上の評価を入れられている作品はたいがいどちらも平均4点以上、合計で8点以上あります。ネット掲示板などでよくネタ扱いされてしまっているような作品でも、です。

 私のこの作品は平均文章評価3.5点、平均ストーリー評価3.3点で、合計平均6.8点です。これがどれだけ低いか、お分かりいただけたでしょうか。

 流行りの皮をかぶって読まれても、中身が読者に対して不誠実ではいけないと、強く心に誓いました。

 

6.過去を慈しむ灯のもとに(UTAU滲音かこい二次創作) 

 

URL:このブログ内に掲載しているので省略(横着ともいう)

種別:短編

投稿日:2017年1月26日

掲載状況:当ブログ『つるつるつらつら』と『pixiv』で掲載中

文字数:9,723文字

あらすじ:あるキャラクターのことが大好きな人の前に、実際にそのキャラクターが現れる――そんな現象がまれに報告される世界。そんな世界に暮らすかこいちゃんとマスターの、お誕生日のお話。

 

  滲音かこいちゃんのお誕生日に合わせて(ちょっと遅刻)書いたマスター×かこいちゃんの短編です。このブログに掲載しています。

 そういう関係ではまったくないですが糖度は高め。さっき読み返してちょっと目まいがしました。でもかこいちゃんはかわいく書けたし、ほっこりする話になっていると思います。ちょっとだけ世知辛い感じなのもすき。お気に入りです。

 ケーキのくだりとか、タイトルとか、ちょこちょこネタも挟みました。

 来年の4月、京都で開催されるボーカロイドオンリーイベント(即売会)、『VOCALOID STREET』にて頒布予定のかこいちゃん短編集『滲色平月』(にじいろへいげつ、と読みます)にちょっと書き直して収録予定です。

 はじめての即売会、海石さん(@sycauite_ikuri)と一緒に出ます。まだ先の話だけどよろしくね(ダイレクトマーケティング)  

 

7.姫護りの半端騎士~鏡使いは真の英雄に成り上がる~

 

URL:https://ncode.syosetu.com/n6032cv/

ジャンル:ハイファンタジー

種別:連載、未完

連載時期:2017年5月19日~2017年6月25日

掲載状況:『小説家になろう』で掲載中

文字数・話数:24,656文字、7話

あらすじ:巨大な聖樹になる果実から生まれ、それぞれ固有の権能を持つ希少種族『樹聖者』がいる世界。その樹聖者であり、『鏡』の力を持つ騎士アントンは、ある日突然所属する騎士団から暇を出される。原因は、彼の住む国の第三王女で、自由奔放かつドジの多いことから《駄犬姫》とあだ名されるクラリサ殿下。彼女が王家を飛び出してまで冒険がしたいというので、その護衛としてアントンに白羽の矢が立ったのだ。当座の目的地は、非合法組織の拠点になっていると噂の鉱山都市。
周囲の持ち上げぶりと自分の能力の乖離に悩む、武器を振るうことだけが生きがいの騎士と、英雄願望のあるバーサーカー気質な王女殿下が織りなす冒険譚。

 

 

 読まれるのを諦めていないのがわかりますね。このころになると、異世界への転移や転生のないハイファンタジーで主人公最強な作品が勢いを増していた気がします。なおこの作品の主人公は中途半端な強さです。またか。

 今回こそはエンタメを追求しようとコメディ色の強い明るい話を目指したはずなんですが、たった7話でどシリアスに転げ落ちてしまって書けなくなり、投げ出してしまいました。どうしてこうなった。『英雄の資格』という重いテーマを根幹に据えたからです。初手から詰んでいましたね。

 作品自体はけっこう好きです。キャラクターが立っているのとか、掛け合いとか。技術的に苦手にしている要素が、ここではそこそこできている気がして。

 

余談:実は『正夢令嬢』の数百年後の未来のお話という裏設定がありました。『正夢令嬢』ラストのあれがこの作品のあれです。そちらの主人公も守護霊のような形で『姫護りの半端騎士』に出てくる予定でした。そこまで行く前に投げ出しちゃったけど。

 

8.書き出し祭り・かざコン参加作たち

 

第一回書き出し祭り『実況ちゃんだって闘いたい!』

URL:https://ncode.syosetu.com/n6933en/35/

ジャンル:異能力学園もの(ローファンタジー)

結果:第三会場17/38位(同率)

 

 第二回 〃 『家を追い出されたけど、幸せの壺のおかげで開いた食堂が順調です!』

URL:https://ncode.syosetu.com/n7335er/22/

ジャンル:ハイファンタジー

結果:第四会場25/30位(同率)

 

第四回 〃 『それでも先生と結ばれたい』

URL:https://ncode.syosetu.com/n7188fb/27/

ジャンル:恋愛×ディストピアSF

結果:第四会場7/30位(同率)

 

第二回かざやん☆かきだしコンテスト!『彼女は僕を見ていない』

URL:https://ncode.syosetu.com/n1173fl/17/

ジャンル:現代恋愛(のつもりだったけど、ホラーでは?というご感想を複数いただきました)

結果:12位以下/21位(上位11作品までの発表だったため。発表の中になかったのでそれ以下なのは確実)

 

 

 書き出し祭りとは、小説家になろう上で定期的に開催されている、ラノベ作家の肥前文俊さん(@HizenHumitoshi)主催の個人企画です。応募に集まった先着100人が『連載の第一話』を想定した3200~4000字の書き出しを執筆し、匿名で一斉に公開する。25作ずつ四つの会場に分けられて、読者は各会場で上位3つまで気に入った作品に投票し、後日結果が発表される。そんな企画です。読み手を引き込むための冒頭づくりが鍛えられます。

 かざやん☆かきだしコンテスト!(以下かざコン)とは、書き出し祭りが人気企画ですぐに100の枠が埋まってしまうため、そこに入れなかった人たちの救済としての一面もあり開催された、秋原かざやさん(@arunan0603)主催の個人企画です。レギュレーションは基本的に書き出し祭りに準じていますが、上位入賞者はイラストレーターの方に作品の挿絵を描いてもらえたり、参加者同士での対談などの企画があったりと、書き出し祭りとはまた違った趣向が凝らされています。

 私は過去、これらに計4回参加しています。今後行われる第八回書き出し祭りに参加することが決まったので正確には5回目ですが、過去です過去。かるーく振り返っていきましょう。

 

①.実況ちゃんだって闘いたい!

 前から温めていたネタを、上位とか考えずとにかく形にしたやつです。異能力学園もののラノベ、数年前に次々アニメ化されてたような気がします。それくらいには一大勢力ですが、焼きそばさんはまた変なひねり方してますね。このジャンル、特に学園内外でのトーナメントが描かれる作品によく出てくる実況の女の子が主人公です。

 改行がかなり少なかったり冒頭から長台詞だったりで読みにくいという意見が多かったし自分でもそう思いますが、会場内で真ん中あたりと一定の評価はいただけました。好き嫌いが分かれたぶん、発想と個性を高評価された方もいたのだと思います。

 連載はしないです。お話の方向性をどうするかがむずかしくて。『実況の女の子』なので、どうやればその役割を放棄せず闘いという表舞台に出せるんだろうというところに自力では答えが出せなかった。

 

家を追い出されたけど、幸せの壺のおかげで開いた食堂が順調です!

 前回は書きたいように書いたので、今度は広く浅くエンターテイメントをやることにしました。めざせ万人受け。

 女性向けにしつつ、男性にも読んでいただけるように。ポップで明るく、ドタバタチックに。昨今人気の追放されてからの逆転劇をベースに(しようとして追放とも呼べない優しい感じになったけど)、『幸せの壺』という独自のアイテムでフックを作る。読み手を強めに意識しつつ、ある程度自分の好きも取り入れて形にしました。惨敗しました。

「詰め込みすぎで説明不足」「展開が急すぎ」という意見が大半でしたね。読み返すまで自分ではまったく気づけませんでした。あと「『家を追い出された』は著しく語弊があると思う」というご感想もいくつか。焼きそばもそう思います。

 いつか連載したい気持ちはある。

 

③それでも先生と結ばれたい

 前回の反省を活かして、『自分の好きなものをより届きやすい形にパッケージングする』という方向性で挑みました。歳の差(男性が年上)と禁断の恋が好きなので、それが活きるシチュエーションって何だろうと思った結果のディストピアSFです。

 今までも〆切ギリギリマンになっていたのですが、この時は特にギリギリになってしまって、〆切の数分前に書きあがってそのまま推敲せずに提出、というエクストリーム執筆でした。本当に申し訳ない。そのため改善すべき点は多々あると自覚していましたが、結果としてはそこそこ上のほうに位置することができました。『これからどのような方向性で進むか』『売りはなにか』がはっきりしているのは強みなんだなあという学びがありましたね。そこは自信があった。

 連載はしないです。不妊について少し取り扱っていて、そこを誰も傷つけず丁寧に描き切れる自信がない。実際、不妊治療の経験のある方から「もうちょっと違う取り扱い方ができたのでは」(意訳)というご感想をいただいて……今でも悔やんでいます。申し訳ないと思っています。

 

余談:これは小ネタですが、主人公の名前について。

引地(ひきち)……不屈(ふくつ)を1文字ずつ前にずらしたもの。

柚希(ゆき)……行(ゆ)く、から。

 というわけで、あきらめずに前に進もうとする、彼女の姿勢を表していました。当然誰にも気づかれなかった。かなしみ。もっとわかりやすくしようね。

 

④彼女は僕を見ていない

 企画参加作4つの中で一番暗くて重い作品になりましたが、どうしてこれを提出しようと思ったのかはわからないです。思いついたものを書いただけかもしれない。

 構想から書き上げるまでかなり短かったのですが、どんより重い雰囲気は作れた気がします。内容が内容だったので、「書き出しとしての完成度は高いが自分の好みではない」というご感想を複数いただきました。ちょっと悲しかったですね。逆のほうが、たぶん私はしあわせでした。何度か企画参加したかいがあった、経験値は積めているということなので、嬉しいんですけどね。

 シンプルだけどふたつ目の意味があるタイトルで、実はお気に入りです。

 

余談:これも連載の予定はありません。ただ、上で触れた海石さんがこれを気に入ってくださったそうで、かこいちゃん短編集のおまけみたいな感じでちょっとした続きとともに収録するかもしれません。かこいちゃんを求めてきた人の求めるものではないと思うので悩んでいます。

 ほら、漫画の単行本にその人の過去の読み切りが付いていることあるじゃないですか。あれみたいなやつですよ。ええ。……冗談です。じっくり考えます。

 

9.ひな鳥探偵は謎を解かない

 

URL:https://ncode.syosetu.com/n9359em/

ジャンル:ヒューマンドラマ×(一応)探偵もの

種別:連載、完結済み

連載時期:2018年1月15日~2019年9月23日

掲載状況:『小説家になろう』『LINEノベル』で掲載中

文字数:99,588文字

あらすじ:1985年、東京郊外。『白鳥探偵事務所』に、日本中を騒がす無差別毒殺犯から手紙が届いた。それは「自分が関わったと断定された事件の中に、ひとつだけ冤罪がある。その真相を突き止めろ」という衝撃的な内容で。後ろ暗い依頼ならお任せあれ。青年探偵、白鳥 英樹と元依頼主の少女、美穂が華麗に謎を――解かない!? 俺はホームズじゃないからと、トリック解明などにはこだわらずに事態の解決だけを目指す。調査を進める中で、被害者と思われていた少年、健一の抱える問題が浮かんできて……
「普通の子でいたい。仲間外れはいやだ。それだけだったのに……!」
そして探偵と少女は、少年と似た悩みをもっているのに、考えることから逃げていたと自覚する。事件を通して1歩踏み出す、探偵ものの皮をかぶったヒューマンドラマ。

 

 

 冒頭でも書きましたが、私はつい最近までいわゆる長編を完結させたことがありませんでした。過去に3回挑戦して、全部投げ出してきました。(『VRMMOの~』は約2万字なので短編の域です)初めてお話を書いてから4年、ようやく完結できた長編がこれです。

 思いついたものを少しずつ少しずつ書いて、なんとかここまでたどり着けました。

 正直、とても地味な作品です。恋愛要素なし、ミステリと見せかけておいて、主人公たちの成長を描くヒューマンドラマ。物語を彩るサブキャラもほぼいない。雰囲気や文体も終始ちょっと重めで堅い感じ。

 今までで一番いいものを書けている自負はありつつも、自分の好みど真ん中かと言われると何とも言えない。書きたいと思ったものなのは事実でも。ほとんど更新できていなかった時期が一年ほどありました。

「また諦めてしまうのかな」

 そんな想像をしてしまったことは、一度や二度ではありません。でも、継続して読んでくださっている方のためにも、主人公たちのためにも、良い結末を見せてやりたい。気力を振り絞って書き切りました。

(最後のほう、がんばりすぎて食事をおろそかにしてしまった結果少し体調を崩したのは秘密です)

 作品自体のお話をすると、「人間を書くこと」を目標に掲げていました。心情描写に力を入れて、キャラクター達それぞれの気持ちや考え方と、それが移り変わるさまが書きたかった。上手くいったかはわかりませんが、力を入れたのは事実です。そこを褒めていただきもしたので、伝わってよかったなあと思いました。

 ですが、各キャラクターを魅力的にできたかどうかは、あまり自信がないです。ストーリーと心情の変化を書くための駒にしてしまった気がしています。今までの作品もだいたいそうなんですけどね。もっと精進します。

 ただ、間違いなく今までの集大成、今できる全力です。もしよければ処女作の『VRMMOの~』とこの作品を読み比べていただけると、成長の跡が見てとれるはずです。

 作家になりたいという気持ちは今のところない(万が一機会が巡ってきたなら、それは全力でやり遂げます)のですが、今の自分はどこまで通用するのかという力試し、現在地点の確認のためにどこかのレーベルの新人賞に出す予定です(小学館ガガガ文庫に出しましたが、応募フォームへの記載で大きな不備をやらかしたので弾かれていると思います)。そのために書き直しもしました。どんな結果であれど、そのうち報告できるはずです。

 ちゃんと完結している以上、これから読んでくださる人がいるかもしれないので、内容に触れがたいのがかなしい。ひとつだけ言うとしたら、当初から前向きに終わる予定だったけど、主人公たちの落としどころがああなったのは執筆の途中で決めたことです。正解だった、思いついてよかったと思っています。

 

余談Part1:もともと演劇部の公演用の脚本として考えていました。警察2人が捜査の中で、今の健一にあたるキャラのいる病室へ向かう、というお話として。今よりミステリしてますね。理由は忘れましたが没にして、こういう形になりました。

余談Part2:暗駄犬(アンダードッグ)という架空のチームが出てくるのですが、自分としてはかなりいいネーミングセンスだと思っています。

 

 

これからの私のこと

 

 長編を完結させる、という現時点でもっとも大きな目標は達成できました。それも、自分が書きたいと思ったものをやりたいように書いて。自分が読むための作品作りについては、ひとまず満足できました。自信もつきました。

 だから、今度は多くの人に読んでもらえるような作品を書きます。今度こそは、斜に構えず。どういうジャンルの作品のどんな要素が、なぜ人気なのか。そこをしっかりとらえて、納得したうえで取り入れて。でも自分の芯は譲らずに。

『ひな鳥探偵』を書く中で、自分の小説の芯になにがあるのか自覚することができました。それは、『現実を直視したうえで、できるだけ優しくあろうとすること。自分にとってのよき人、よい生き方を追求するのを諦めないこと』。思えば私自身も、そうあろうとしてきました。

 誰しもの中に悪はある。それでもどこかに優しさをもって物語を紡ぐのが、私の作風です。これからも、そういうお話を書いていきます。

 自分の芯にたどり着けたのも、はじめのころと比べて技術的に成長できたのも、すべては書き続けてきたからです。それを得られたのは処女作も最新作も変わらないし、投げ出してしまった作品たちも例外ではない。お気に入りかそうでないかは置いといて、どの作品も大切な私の一部です。

 私が紡いできたものと、それらを読んでくれる皆さんのことを大切にしながら、これからも書き続けていく所存です。お話を作るのがだいすきだと、今なら胸を張って言えます。